こんにちは。たぐちです
彼らが言うところのマキシマリストの私が、ミニマリストのバイブルである「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」を読んでみました。
結論としては"モノありきから、ミニマリズムありきに変わっただけ"かなという感想です。
※正直まったく合わない本だったので、かなり批判的な内容になってます。
ミニマリストや近い考え方の人は不快に感じる内容です。それでもいい方だけ読んでください。
ぼくたちに、もうモノは必要ない。の感想
ひと言でいうと普通。凡。
- ノウハウ集としては内容が薄いし、読み物として面白くもない
- ミニマリストが目的になっている
- 部屋の写真と捨てる方法リストは参考になる
- 話が極端、ブレブレ
- ちょっと宗教入ってる
- 好き嫌いが分かれる
キリスト教の「聖書」、共産主義の「資本論」みたいなもので、この本は「ミニマリストのバイブル」なのかなと感じました。ただ聖書は物語としてもよく出来ているけど、この本はミニマリストじゃないと退屈な内容です。
著者は方法は変えたけど、根本的にはそれほど変わってないように思えました。
「モノを通して良く見せようとしていた自分」が、「ミニマリストを通して良く見せそうとしている自分」という方法が変わっただけです。
ツッコミどころが多い
とにかく読んでいると何回も突っ込みたくなるところがありました。
- モノを減らすために無線LANやBluetoothを使え
- Apple製品はミニマリスト向け
ゲームするのに無線LANじゃ不安定だし、Bluetoothは飛行機などでは利用できない。
これを読んだときゲーム機は必要でも捨てるかしない、飛行機には乗らないのが前提で書いているんだなと思いました。
またやたらアップル製品(ジョブスも)をミニマリスト向けだと持ちあげています。
使いやすいのはわかるけど、汎用性が低く購入するのにも手間がかかるアップル製品より、汎用性が高くてどこでも購入できるWindowsやAndroidの方がミニマリスト向けじゃないの?
著者の頭がよくない、ダメ人間
モノを持つ生活がダメなんじゃなくて、著者がただ頭が悪いだけじゃないかと感じる部分が多い。良くいうと素直で純真な人なんだと思う。
- 高学歴で35歳まで約10年も会社勤めをしているのに、ほとんど蓄えなし
- アルコール中毒かと思うほど酒を飲んでいる
- 旅行の帰りに航空券がどこにあるかわからなくなる
第1章で「引越したらお金がほとんどなくなりました」みたいなことを書いているんですが、35歳にもなって貯蓄をほとんどしてないってどうなのよとツッコミました。
著者の佐々木典士さんは大学を卒業して、約10年を都内の出版社で働いています。しかもこの人早稲田大学卒なんで、収入はその辺のサラリーマンよりは多かったと思われます。
いくら出版関係がブラックばかりと言え、早稲田まで出て貯金ないなんて。
その他にも「旅行の帰りにお土産などを買い過ぎて、モノが増えると肝心な飛行機のチケットを探す羽目になる」的なことが書いてあるんですが、チケットやパスポートは別で持つか、クリアファイルに入れるなどしてわかりやすく携帯するだろうがとツッコミました。
著者は「モノが多いとこんなことが困るよ」と言いたいんだろうけど、私にはあなたの頭が悪いだけだろと言いたくなるところが目立った。
誰かの話を引用しすぎ
著名人の名言的なものや、例え話が何回も出てきます。特にスティーブ・ジョブス。
「ジョブスがこう言ってた、こうやってきた」「ゲイツはお金持ちだけど~」とか成功者の話ばかり。
ジョブスがこうだからと言われても、じゃああなたはどうなの?
読んでいて、あなたの意見はないのと何度も思いました。
同じこと何回も言う
たとえば第2章ですが、「慣れ」→「飽きる」のフレーズが何回も出てきます。
強調したいんでしょうけど、同じフレーズを何回も言われるとイヤになってきます。
それに同じような内容を何回も言っているので「この話、聞いたな」と思うことがたくさんありました。簡潔に書けば、ページ数は半分ぐらいで済んだのに。
文章がミニマルではない
結論までが遠くて、何が言いたいのかよくわからない。
余計な自分語りも多く、具体的にどうしたらいいのかを求めてる人はくどく感じる文章です。
手っ取り早く理解したい方は見出しだけ読んで、あとはサラッとでもいいかと。
そう、私の文章のようにね。
過程の話があまりない
以前のダメな私→ミニマリストのステキな私といきなり話が飛びます。
- なぜミリマリストになったのか
- 今のようになるまでにどれぐらい時間がかかったのか
- 途中はどのような生活、思考だったのか
自分語りが多いわりには、この辺の過程があまり書かれていない。
ミニマリストの定義が広すぎて説得力に欠ける
そもそもミニマリストの定義がほぼありません。
- 本当に自分に必要なものがわかっている人
- 大事なもののために減らす人
これだけなんで、血液型占い並にほとんどの人があてはまります。
捨てることが目的じゃないと言いながら、「アレは捨てろ、コレは捨てろ」言います。ただ矛盾を少しツッコまれると「本当に必要なら捨てなくていい」と言います。
本当にブレブレのガバガバです。
ミニマリストは手段で目的じゃないと言っておきながら、ミニマリストになるのが目的です。理由はミニマリズム(思想)に沿ったものを、後付けしているだけです。
だから「これの場合もこうなの?」と聞くと、「別にそうならそうしなくていいよ」というブレブレの回答が頻繁に出てきて説得力に欠けるんです。
なにか前提じゃないと成り立たない
この本は基本なにを前提で話を進めています。
- 都会前提
- 独身前提
- PCで出来る仕事前提
本文ではモノを持たないようにするため、やたらと「本は図書館で借りろ」とか「たまにしか利用しないものはレンタルしよう」と言っています。
そりゃ図書館やレンタル店がその辺にある都会はいいけど、田舎には歩いていけるような場所にありません。図書館なんて車で行かないとダメだし、それなら電子書籍やネットで購入した方が早いです。
特に車は田舎で子持ちなら必須。
カーシェアリングなんて都会の一部にしかないし、タクシーですら電話して迎えにきてもらうレベルなのに手放せと?
独身ならいいけど、小さい子供がいたら送り迎えもあるし車があると便利。
不便で手間暇かけるなら、多少維持費はかかっても車のある生活こそ効率的だと思う。
仕事についても「PCとネットがあればできる」と何処できて広い作業スペースはいらないと言っています。
この人は世の中のすべてがPCとネットさえあれば、出来る仕事だと思っているの?
やたらと電車と自転車を持ちあげてましたが、その電車は現場に人がいないと成り立たない仕事だとわかっているんですかね。
お金持ちの発想
たまにしか使わないものは捨てて、必要なときにまた買えばいいという考えなんです。
お金がある人ならいいけど、お金がない人はどうするの?
買い直すお金と手間、時間は完全無視なんですかね。
保証書もいらないと書いてましたが、不良品をつかませれたら買い直せと言うんでしょうか。
使う頻度が少なくても絶対に必要なものがあるから、その都度買い直したりレンタルするのってお金も手間もかかると思うんですよ。
例でスーツケースを上げていましたが、旅行のたびにレンタルしてたら高いし面倒です。30年に1回とかならわかるけど、年に1回旅行するなら買った方が良い。
捨てる教とムダ教
この本でのミニマリズムは捨てる教とムダ教です。
捨てることが目的ではないと言いながら、あれは捨てるコレも捨てろと言っている。
またアレをするのはムダと、人生の楽しみまで奪われそうになるレベルで「無駄」という言葉も使ってきます。
特に違和感を感じたのが、「博物館を建てる予定のないコレクションは無駄」という主張。
貴重なものは誰かがしっかり保管してくれているので、ある程度努力すれば手に入るモノをコレクションするのはムダらしい。
挙句の果てに「貴重なものは博物館に見にいけばいい」とまで言っている。
価値が少ないものでもコレクションするまでには時間がかかるし、それ自体が楽しい人もいる。そんな楽しみを奪ってまで「ムダ」をなくしたいのかと思ったし、再度購入するにしても時間や労力が私にはムダに思える。
経済にいい影響はない
ミニマリストばかりだと経済が破綻するという人の意見を否定している。その理由として
- モノが好きで高いものを買う人もいるから
- ミニマリストにジョブスのような人が出て来るかもしれないから
ミニマリストで高いものを買う人の割合はどれぐらいなのだろうか、例え高いものを買っても買うものが少なければ消費としては貢献度が低い。
後者に至っては「ジョブスがミニマリストだった」だけで「ミニマリストがジョブス」なわけじゃない。
有能な経営者がミニマリストだからって経済に貢献しているというのは無理があると感じました。
この理屈なら非ミニマリストの有能な経営者の方が圧倒的に多いので、かなりの経済的貢献者ということになります。
断捨離が目的なら3章と4章のリストだけ読めばいい
この本はミニマリストの思想的なことが多く語られています。
断捨離のテクニックやノウハウを知りたいなら、第3章の「捨てる方法最終リスト55」と第4章の「モノを捨て、ぼくが変わった12のこと」だけを読めばいいです。
この2章は参考になるところが多かったです。
というか断捨離目的なら、こんまりさんこと近藤麻理恵さんの本を読むことをおすすめします。
こちらの方がノウハウが多く載っていてわかりやすい。
考え自体は悪くない
ミニマルな暮らしという考え自体は決して悪くない。
- 上手くやれば経済的
- モノが少ないので掃除がラク
- 引越がラク
- モノへの執着がなくなる
- エコ
- モノを大事にするようになる
- 地震のとき、モノが倒れたり落ちたりしない
モノを買わないとお金もかからないし、経済的。ただ買い直し発想は不経済。
モノが少ないことで掃除が圧倒的に楽になるのは納得できますね。掃除というのはモノを動かすのに時間をとられるし、何もなければロボット掃除機でOKですからね。
掃除道具や洗剤も軽減できて、よりスペース確保につながります。
引越もモノがなければ身ひとつで移動できるからラク。梱包もいらないし、広い部屋も必要ないでしょう。
大地震が来てもモノの下敷きになったりするリスクが減るし、失うモノも減ります。
ただこの本で言っていることが極端だし、定義もないからブレブレなのが致命的だった。
そういうところが良いところなんだろうけど、説得力に欠けてしまう。
共感できる部分も多い
著者は自己顕示欲が強いんだと思う。つまり「ええ格好しい」なんです。
特に共感できたのは、ちゃんと読みもしないのに難しい本を買ってしまうという部分。
私も「こんな難しい本読んでるアテクシ、カッケー」がしたくて、本を買っていることもあります。もちろん本が読みたいと言うのもあるけど、知的アピールをしたいというのもある。
スタバにMac Book持ってドヤリングする心理と同じ。
結局モノのせいではない、あなた自身がどうか
理解はするし、共感できる部分も多くあるけど、信仰はしないですね。私はモノが欲しいし、買い物も楽しいので大量に消費し続けます。
冒頭に部屋の写真が出てくるんですが、ミニマリストになった部屋より、なる前の部屋の方が魅力的でした。だって好きなモノに囲まれる暮らしって素敵じゃないですか。
写真は見ていて楽しかったので、部屋の写真がたくさんあれば良かったのにな。
この本を読んでいて思ったのは、「これ持ってるアテクシ、カッケー」から「ミニマリストなアテクシ、カッケー」になっただけなんだなと。
最初に言った通り、方法が変わっただけで根本的な部分は変わっていないです。
著者は現代社会が「お金党」「モノ党」「経済党」の連立政権に支配されていると言っていましたが、それが「捨てる党」「ミニマル党」に変わっただけ。
タイトルが良いのでハマる人はハマるだろうけど、私には合いませんでした。
マキシマリストの心を動かせるぐらいの、本じゃなかったのは残念。